古墳のある風景

古墳はその雄姿を人々に「魅せる」古代豪族、大王のお墓です。しかし、近代化の影響を受け、滅失された優れた古墳が残念ながら

多くあります。守山区小幡に立地していた2基を紹介します。

 

一・ 小幡古墳

  場所:守山東中学校西南

  種類:円墳

  規模:径:16m、高さ:3m

  築造:6世紀末~7世紀初  

  滅失時期:大正15年10月土取り作業中に石棺が発見された。横穴式石室は東西に5m程の長さ。

  出土遺物:

  1・ 東西に2個の組み合わせ石棺が並んで置かれていた。

  2・ 石棺は厚さ18㎝、内法長さ2m、幅1m、高さ65㎝

  3・ 副葬品は銀環1、棺の外に須恵器の破片2~3片

  石棺の特色:

  1・ 濃飛産出の流紋岩質の火山ガラスを多く含む凝灰岩。

(濃尾地域の多くの石棺は礫質・砂質の凝灰岩、中粒の砂岩を使用)

  2・ 尾張旭の長坂遺跡にある長坂石切り場で加工されたと推定される。

  3・ 濃尾地域の石棺の内、小幡古墳の石棺は非常に少なく貴重である。

 

二・池下古墳

  場所:名鉄喜多山駅のほぼ東北

  種類:前方後円墳、規模:墳長45m、後円部径:32m、高さ3m

     前方部幅:28m、高さ2,5m、築造:5世紀末~6世紀初

  滅失時期: 昭和8年耕地整理により後円部の大半が削り取られ、名環2号線予定地となり、昭和41年発掘調査が行われ平成12年小幡IC付近~喜多山開通により完全滅失。

  出土遺物:脚付六連蓋杯、大型壺、大型甕、有蓋高坏、円筒埴輪、蓋形埴輪

  特色:

  1・ 尾張で最も早く横穴式石室の排水溝を採用(参考:豊橋市・馬越長火塚(まごしながひづか)古墳、前方後円墳、墳長70、横穴式石室、12m、副葬品:杏葉(金銅製馬具)・辻金具、勾玉、須恵器)、

  2・ 豊富な埴輪や須恵器を配置したまつりの場が確認された。

                   

令和2年10月18日

浅井 保司