『顔の考古学』 設楽博己(したらひろみ)著 (吉川弘文館2021)
土偶、埴輪などの造形品を通じて、古代人の心を探ろうとしたもの。顔壺、黥面(げいめん)面埴輪、人面墨書土器なども扱っており、豊富な写真と絵が想像力をかきたてる。
時代は縄文、弥生、古墳にわたっているのが特徴。時代の流れにも注目している。例えば、山形土偶からみみずく土偶への変遷(p128)では、筆者による楽しい絵が12も並んでいるといった具合。
エピローグにある「異形の精神史」が、この本の内容をひとことで示している。古代人の心の広がりをぜひ楽しんでください。章立ては以下の通り。
歌に詠まれた纒向仮面―プロローグ
日本最古の妖怪画
方相氏と「鬼は外」の起源
黥面考 顔のイレズミの歴史
縄文土偶の顔
弥生時代の顔の表現
異形の精神史―エピローグ