2023年2月14日 現地学習「正法寺古墳と西尾市塩田体験館 吉良饗庭塩の里」をおこないました。
歴史の里マイスターの会では月に1度程度、東海地方を中心に古墳めぐり、博物館/資料館めぐりをしています。
今回は愛知県西尾市の正法寺古墳と西尾市塩田体験館 吉良饗庭塩の里を訪れました。
名鉄西尾線に乗り、吉良吉田駅に到着。
味のある駅舎を出て、近隣の観光地図を見る。
バスに乗り、吉良高校バス停で降りて、正法寺古墳へ向かいます。
正法寺に到着。
市指定文化財である薬師如来坐像が本尊。
正法寺の隣に正法寺古墳が美しい姿で横たわっている。冬は雑草も少なく墳形がわかりやすい。
西尾市教育委員会 文化財課の浅岡学芸員にお願いして、古墳について解説していただきました。
正法寺古墳は西三河最大級(全長94m)の前方後円墳、南側のくびれ部には島状遺構があり、三重県松阪の宝塚1号墳と墳形が近いとのこと。松阪方面からの海の伝搬ルートを思わせる雄大な古墳です。「こっちにも大きな船形埴輪がでたらいいのにね」と浅岡学芸員が笑いながらお話しされていました。
古墳ができたころは、すぐ近くまで海が迫っていたとのこと。まさに海に臨む古墳。海を行く人々からは目立ったことでしょう。
佐久島が大きく見え、知多半島、遠くに三重県松坂方面も見えます。小説「潮騒」の舞台の神島も。
古墳からそう遠くない山の中には幡豆神社があり、祭神はタケイナダネ。ヤマトタケルの妃であるミヤズヒメの兄で、ヤマトタケルの東征に従い、最後は海で亡くなったという伝承があります。
我々のガイドするしだみ古墳群にある尾張戸神社古墳の墳丘の上には、尾張戸神社があり、その祭神のうちの一柱はタケイナダネです。
遠く離れた2つの地域に残る伝承、とても興味深いものがあります。
正法寺古墳から歩いて、「西尾市塩田体験館 吉良饗庭塩の里」へ。
正法寺古墳の出土物を含め、このあたりの古墳の出土物が展示されています。
そして、江戸時代からの塩田の歴史と塩の製法を楽しく学ぶことができる施設です。
圧巻なのは岩場古墳出土の円筒棺
これだけ大きくて完全な形で残るのはここだけか。大きすぎて運び出しが難しく、ほかの博物館に貸し出しされることがないので、ここに来ないと見ることができません!
そして、塩づくり体験もさせていただきました。
塩田に海水をまいて濃縮していく作業の体験は時間がないので、今回は大幅に短縮してかん水を土鍋で煮て塩を取り出す体験をさせてもらいました。
我々も、埴輪づくりや勾玉づくりの体験学習の補助をするので、すごく興味があります。
館長さんのトークがすごく楽しく、笑いながら体験できました。
スタッフの方々もとっても親切でほめ上手。手際の悪い私たちも褒められてうれしくて気分上々でした。
短い時間でしたが交流できて本当に良い時間でした。
午後からは、電車に乗って「とうてい山古墳」へ
とうてい山古墳は6世紀後半の築造とみられる全長8mの円墳。出土遺物は須恵器・玉類・武具・馬具など。
こちらも海を臨む立地で、古墳の大きさこそ8mですが、出土物が立派。中に佐久島の石材で作った石棺が残っています。
とうてい山=尊い山からなまったという説もあると浅岡学芸員に伺い、海と神宿る山に思いをはせる。
「今度は佐久島の遺跡や古墳の探訪に来てください」と勧められて、「近いうちにぜひ来よう」と皆で話しました。
浅岡学芸員、塩田体験館の皆様、貴重な体験をさせていただきました。有難うございました。