現地研修「安城市歴史博物館、桜井古墳群・鹿乗川流域遺跡群を訪ねて」 日時:2023年3月14日(土)10:40~16:15

 本年2月に続き、三河の古墳・遺跡を訪ねる今回の企画に13名が参加した。まず、安城市歴史博物館に集合し、富野氏(安城市教育委員会)の案内で、続きの建物にある安城市埋蔵文化財センターの展示収蔵庫を見学した。間近で土器などの出土品を直接見られるとても良い機会だった。  

 その後、現地見学に先立ち、縄文~古墳時代を中心とした常設展示物を西島氏(安城市教育委員会)に解説していただいた。 

 桜井古墳群は、碧海台地の東縁部とその眼下に広がる鹿乗川・西鹿乗川流域の微高地に立地し、南北約3 Kmの範囲で大小20基ほどの古墳で構成され、葺石はなく前方後円墳と前方後方墳が共存する前期古墳群である。 

 鹿乗川流域遺跡群は、鹿乗川・西鹿乗川流域の南北約5 Kmに広がる、盛期が弥生時代から古墳時代にかけての集落遺跡群である。 

 当遺跡群から出土された人面文壺形土器に見られる「人面文」や外来系土器は、広範囲な他地域との交流が感じられとても興味深い。 

 また、今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」で話題の三河一向一揆のコーナーも追加で解説していただいた。 

 

 昼食は、安祥城址公園で各自持参のお弁当を食べた。ここは、NHK大河ドラマの人気によって、これから春に向かって訪問者が増加するのではないか?

 食事が終わっていよいよ現地見学開始。当博物館を出発し、富野氏の解説付きで見学した。碧海台地と鹿乗川・西鹿乗川流域の沖積地を、概ね北から南に歩く約6 Kmのコース。 

 

 まず約20分歩いて塚越古墳に到着。塚越古墳は、2018年の調査で、前方後方墳の可能性も示唆されており、安城初の円筒埴輪片も出土している。また、埋葬施設は粘土槨あるいは木棺直葬とみられている。

 次に、東海道新幹線から間近に見える二子古墳へ歩き、墳丘に上ったり周囲を歩いたりして見学。桜井古墳群を代表する古墳で、全長約68 mの前方後方墳。後方部が高く盛り上がっており、その後ろに周溝の可能性が示唆されている。なお、埴輪は見つかっていない。新幹線側に目を向けると二タ子遺跡が見える。

 少し南下して西に向かうと縄文時代の堀内貝塚(貝層が見えるよう小さなガラス窓が切ってある)を覗く。その後、近くの堀内公園で少し長めの休憩。ここの観覧車に乗ると、今回見学するエリアが一望できるらしいが、火曜日休みで残念。また次回のお楽しみ。 

 

 さて、ウォーキングも後半戦、堀内古墳(写真:左)、碧海山古墳を見て、比蘇山古墳とその上に鎮座する桜井神社にたどり着く。ここからは宮下遺跡周辺の広がりを望むことができる。

 その後、鹿乗川流域遺跡群の北群の中心的なエリアと見られている中狭間遺跡(桜林小学校周辺)を左手に見ながら、人面文壺形土器(写真:左)が出土した亀塚遺跡辺りを歩く。残念ながら、住宅が建っていて、当時の風景を感じることはできなかった。亀塚遺跡が北群と南群の境のようだが、往時はそんな分け方はもちろんしていない。

 さて、いよいよ、終盤。さらに少し南下した姫小川町周辺に位置する、獅子塚古墳、姫塚古墳、そして全長66 mの前方後円墳、姫小川古墳(写真:左)を見学。後円部の北東側から南西側にかけて周溝が確認されている。これまで埴輪のない古墳と考えられていたが、2016年の調査で壺形埴輪片が発見された。墳丘から木陰越しに見える姫下遺跡を臨む。

 

補足:上記文中に記述された古墳のうち、写真が添付されていない4古墳を下記に掲載いたしました。(アップロードー担当より)

   上段左より 碧海山古墳  比蘇山古墳  

    下段左よりり 獅子塚古墳   姉塚古墳