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「異常気象と今年の漢字」

    日本は四季がはっきりした国。それが春と秋が短くなり、猛暑の夏と厳寒の冬の「二季」に変わりつつあるといわれる。今年、夏の後、秋らしい風情をあまり感じないまま、冬に突入したような気がする。

 

    歴史の里マイスターの会と「なごや環境大学」共催の講座で、古気候学の権威、中塚武さん(名古屋大学大学院教授)の講演をお聞きした。テーマは「樹木年輪から探る古墳時代の志段味地域の気候環境」。樹木年輪のセルロースの酸素同位体比を分析し、中部日本から西日本の弥生時代から現代まで、2000年以上にわたる気候を1年刻みで復元した。その成果は、中世の気象災害史料や近世の古い日記の天候記録とも一致し、歴史や考古学の研究者にも支持されている。

 

    中塚さんによると、中部日本で樹木が成長する夏季は、降水量に関係する湿度と気温は逆相関関係が普通。梅雨が早く明け、猛暑の時は干ばつになりやすい。梅雨明けが遅れると、水害が多かったという。

    ところが近年、中塚さんは「高温&多湿」の異常な状態を指摘している。かつて高温だと乾燥したのが、雨が多くなったという。今年も豪雨による水害が各地で起きた。地球の温暖化により、東アジア周辺では海面水温が上昇しているためという。

 

    恒例の今年の漢字に「熊」が選ばれた。第2位は「米」。ともに私たちの生活に大きな影響を及ぼし、今も解決されていない。この二つの難問、異常気象に関係している。熊のえさになるドングリなど木の実が異常気象により凶作、冬眠できない熊がえさを求め、人里に出没しているという。食卓に関わる米の出来、不出来と値段も気候に左右される。

    故郷、信州・安曇野の知り合いの農家の話では、コシヒカリは気候の影響で、長野県では栽培しにくくなっている。この地方に適した品種に変更したくても「コシヒカリの人気にはかないません」とか。

 

    地球の歴史で今は「第四紀の完新世」。これに続く地質時代として、「人新世」が提唱されている。地球の地質や生態系に与えた人類による影響に注目し、地球の温暖化は化石燃料によるヒトの活動が原因とされる。2年前、このコラムで異常気象を取り上げた。国連の事務総長が「地球は沸騰している」と警鐘を鳴らしたが、その後も対応に進展はない。

 

    お米券や熊対策の論議もしなければならないが、今、問われているのは温暖化対策である。講座のアンケートで「環境問題に自発的に取り組むか」との問いがあった。地球が脅かされる温暖化に、自ら取り組む本気度が問われている。 (岡村)