「古墳時代の交通と流通」 日高 慎(ひだか しん)編集 (ニューサイエンス社2024)
古代の交通は徒歩によるものと、道具を用いたものに大きく分かれます。道具としては、修羅、車、木造船のほか、馬などの動物によるものもあります。あるいは古墳時代での牛の渡来があり得ると、荷車の牽引に使われた可能性が出てきます。
また、この時代どのような船が使われていたのでしょうか。東殿塚古墳(天理市)の埴輪に描かれた船には多くの櫂があり、吹き流しの幡があるが、帆はない。この本では東国における船による交通・流通も詳しく出ています。
後世の表現であるが、万葉集には次のような柿本人麻呂の歌があります。
大船に真楫繁貫(まかぢしじぬ)き海原(うなはら)を
漕ぎ出て渡る月人壮子(つきひとをとこ) (巻15-3611)
(大船の両舷にいっぱいの楫を通して、大海に漕ぎ出しては渡っていく月の男よ)
土器や須恵器などの広がりから運搬状況が推測されます。ところが陸上交通路や海上交通路は考古資料から確かめられるものの、遺構としての道路はあまり明らかにされていません。ともかく、このようなものの流通がいわば「異文化交流の拡大」という重要な役割を果たしていることとなります。
